HOME > 2002年 > 2003年ここから > 高林淑子(東京都) 伊兵衛織展

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伊兵衛織は、上質の蚕から絹糸を大切に紡ぎ、手織りの機で織られた紬です。張りがあってなお風合いが柔らかく、着る人に心地よさを与えます。一度でも多く着ることで、さらにしっとり感が増し、紬が育ってまいります。母から娘へと着伝えていく立派な工芸といえましょう。主宰される高林淑子さんの美意識で集められた帯との取り合わせの個性的な提案も、この展覧会で出会える楽しみです。

やたら縞の伊兵衛織格子縞と一本置き縞の伊兵衛織黒地に縦縞の伊兵衛織と染帯

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伊兵衛織は、静岡県浜松市で15代続いている旧家高林家で織られている紬。
高林家の当主が代々継ぐ名に由来しています。
先代の伊兵衛は、柳宗悦と共に民芸運動をすすめた人で、
日本民芸館(現在は東京駒場)は創設当初高林家の敷地内に設けられました。
和時計の収集家としても知られ、文化人、茶人とも交流が深く、
中でも昭和の大茶人益田鈍翁との長い友情は
伊兵衛織をいまに育てた養分となっています。
このように民芸や茶道の根の部分にある「用の美」に支えられている織物、
それが伊兵衛織なのです。

伊兵衛織の魅力の源は、まず太くおおらかな糸にあります。絹糸の本領そのままの、よく吟味された糸。この糸を、手で染めることからはじまります。主張する色、響きあう色、ひかえめな色の組み合わせの妙も、職人たちの腕のみせどころです。
伊兵衛織のきわだった特長は、情感の豊かさ。それは、色使いや、手織りから生まれる独特の風合いがかもし出す、のびやかな個性といえます。単衣でお召しください。冬でも暖かく、体の動きにより添ってくれます。
こんな融通のきかない織物もあっていい、と讃えてくださる人々に支えられ、守られてきました。「時代の風になびくもの」や「売りやすいもの」はあえて作らない、という姿勢は辛抱がいります。我慢のいる仕事です。ただ、他の追随を許さない伊兵衛織を、こよなくいとおしんで着つづけ、次の代へきちんと手渡してくださる方がおいでになる限り、このままを貫いてゆくこと、これもまた伊兵衛織の仕事ととらえております。
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伊兵衛工房  高林淑子

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〒693-0001 島根県出雲市今市町678
電話:0853-22-3188